薬剤師国家試験 第105回 問38 過去問解説

 問 題     

脂肪組織でのTG(トリグリセリド)の分解を阻害して肝臓への遊離脂肪酸の取込みを抑制し、肝臓におけるVLDL(超低密度リポタンパク質)の産生を低下させるのはどれか。1つ選べ。

  1. ニコモール
  2. アトルバスタチン
  3. コレスチラミン
  4. イコサペント酸エチル
  5. クロフィブラート

 

 

 

 

 

正解.1

 解 説     

選択肢 1 は妥当な記述です。
ニコモールは、脂肪細胞のニコチン酸受容体を刺激することで、脂肪細胞からの遊離脂肪酸の放出を抑制します。(104-160)

選択肢 2 ですが
アトルバスタチンは、HMG-CoA 還元酵素を阻害し、肝細胞の低密度リポタンパク質(LDL)受容体を増加させます。TG の分解阻害ではありません。よって、選択肢 2 は誤りです。(101-162

選択肢 3 ですが
コレスチラミンは、陰イオン交換樹脂です。腸内で胆汁酸と結合し、大便と共に排泄されることにより、胆汁酸の腸肝循環を妨げます。胆汁酸の排出により、不足した胆汁酸を合成しようと、コレステロールの使用が促進されます。そのため、血中からコレステロールを取り込もうと、肝細胞において LDL 受容体発現が促進されます。その結果、血中コレステロールが減少します。TG の分解阻害ではありません。よって、選択肢 3 は誤りです。(97-161)

選択肢 4 ですが
イコサペンタエン酸エチルは、イコサペンタエン酸(EPA)製剤です。様々な作用機序を通じて、脂質異常症を改善させます。記述が妥当と判断することはできません。(97-161)

選択肢 5 ですが
フィブラート系薬です。核内受容体である PPARα に結合することにより、肝臓での中性脂肪合成を抑制すると共にリポタンパク質リパーゼを活性化させることで、血中の中性脂肪値を低下させます。TG の分解阻害ではありません。よって、選択肢 5 は誤りです。(97-161)

以上より、正解は 1 です。

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