薬剤師国家試験 第104回 問160 過去問解説

 問 題     

脂質異常症治療薬に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. コレスチミドは、コレステロールの胆汁への異化排泄を促進することで、血中LDLコレステロール量を低下させる。
  2. シンバスタチンは、肝細胞でアセチルCoAからHMG-CoAへの変換酵素を阻害することで、コレステロールの産生を抑制する。
  3. エゼチミブは、小腸コレステロールトランスポーターを阻害することで、コレステロールの吸収を選択的に阻害する。
  4. ベザフィブラートは、脂肪細胞のPPARαを阻害することで、血中LDLコレステロール量を低下させる。
  5. ニコモールは、脂肪細胞のニコチン酸受容体を刺激することで、脂肪細胞からの遊離脂肪酸の放出を抑制する。

 

 

 

 

 

正解.3, 5

 解 説     

選択肢 1 ですが
コレスチミドは陰イオン交換樹脂です。腸内で胆汁酸と結合し、大便と共に排泄されることにより胆汁酸の腸肝循環を妨げます。

胆汁酸はコレステロールを原料にして作られるため、陰イオン交換樹脂存在下において胆汁酸がどんどん排出されると、不足した胆汁酸を補充するためにコレステロールが使われます。これにより、血中からコレステロールを取り込もうと肝細胞において LDL 受容体発現が促進されて血中コレステロールが減少します。「コレステロールの異化排泄を促進」ではありません。よって、選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
シンバスタチンは、HMG-CoA 還元酵素阻害薬です。HMGーCoA を還元する酵素の阻害薬なので「アセチル CoA → HMG CoA 変換酵素」の阻害薬ではありません。よって、選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 は妥当な記述です。
エゼチミブ(ゼチーア)は、小腸コレステロールトランスポーター(NPC1L1)阻害薬です。主にコレステロール値を下げますが、中性脂肪の低下作用もあります。

選択肢 4 ですが
ベザフィブラートは、フィブラート系薬です。PPAR α に結合して「活性化」させることで結果として、中性脂肪を低下させます。「阻害」では、ありません。よって、選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 は妥当な記述です。

以上より、正解は 3,5 です。
類題 101-162 

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