国家公務員総合職(化学・生物・薬学)H29年 問40解説

 問 題     

原料物質 A についての一次反応 A → B は液相反応である。この反応を、回分反応器、連続槽型反応器、管型反応器でそれぞれ行う。反応率を 60 % としたときの各反応器の反応時間又は空間時間に関する記述 ㋐〜㋓ のうち妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。

㋐ 回分反応器の反応時間はA の初濃度に依存する。
㋑ 回分反応器の反応時間と連続槽型反応器の空間時間は等しい。
㋒ 回分反応器の反応時間と管型反応器の空間時間は等しい。
㋓ 連続槽型反応器の空間時間は、管型反応器の空間時間に比べて大きい。

1.㋐、㋑
2.㋐、㋒
3.㋑
4.㋒、㋓
5.㋓

 

 

 

 

 

正解.4

 解 説     

㋐ ですが
一次反応、回分反応器なので、1-コンパートメントモデルと考えればよいです。消失速度定数(この場合は反応速度定数と呼んだほうが妥当か。)を k とおけば、半減期 T1/2 = 0.7/k です。初濃度が何であれ、半減するまでの時間は一定です。従って 60% 反応するまでの反応時間も初濃度に依存しません。よって、㋐ は誤りです。

㋑ ですが
連続槽型、一次反応なので、空間時間を τ とすれば、残存率 η = 1/(1+kτ)です。(参考 H28no40) η = 0.4 を代入して τ について解くと、1.5/k です。一次反応、回文反応器では、T1/2 = 0.7/k だったので、60%反応するまでの反応時間は、明らかに 1.5/k より短いです。よって、㋑ は誤りです。

㋒、㋓ は妥当な記述です。

以上より、正解は 4 です。

コメント