薬剤師国家試験 第107回 問236-237 過去問解説

　問 題　　　　　

68歳男性。身長168cm、体重58kg。6年前に胃の全摘手術を受けている。1週間前から息切れと全身倦怠感を感じていた。

今回、著しい食欲不振のため食事が摂れなくなり、めまいも伴うので外来を受診した。血液検査の結果は、以下のとおりである。

(検査値)

BUN 11.1mg/dL、血清クレアチニン値 0.6mg/dL、赤血球数 221×10⁴/μL、Hb 9.7g/dL、MCV 122.2fl、MCH 43.9pg、MCHC 35.9%、血清鉄 101μg/dL、フェリチン 56μg/dL、PT-INR 1.10、便潜血 陰性

問236

この患者において、欠乏が疑われるビタミンはどれか。1つ選べ。

1. ビタミンB₁
2. ビタミンB₆
3. ビタミンB₁₂
4. ビタミンC
5. ビタミンK

問237

この患者に欠乏していると考えられるビタミンに関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1. このビタミンの欠乏の原因の一つに、動物性食品の摂取不足があげられる。
2. このビタミンは、プロリンやリシンの水酸化酵素の補酵素としてコラーゲン合成に関与する。
3. このビタミンは、唾液由来のトランスコバラミンとの複合体として、小腸から吸収される。
4. このビタミンは、葉酸代謝におけるメチル基転位反応に関与する。
5. このビタミンは、生体内でチアミンピロリン酸として糖代謝に関与する。

 

 

 

 

 

　解 説　　　　　

問236

赤血球数が明らかに低い、胃の全摘とくれば、内因子欠乏→ VB₁₂ 不足 → 巨赤芽球性貧血　と考えられます。欠乏が疑われるビタミンは B₁₂ です。

以上より、問 236 の正解は 3 です。
類題 106-186

問237

選択肢 1 は妥当な記述です。
（類題 100-16）。

選択肢 2 は
ビタミン C についての記述です。

選択肢 3 は
ビタミン B₁₂ についての記述ですが、複合体として吸収されるわけではありません。複合体として、胃の強酸環境下での分解を避けた後、膵液により複合体が消化されてビタミン B₁₂ が遊離し、胃で分泌された内因子と結合し、ビタミン B₁₂ と　内因子の複合体として、小腸から吸収されます。「トランスコバラミンとの複合体として吸収される」わけではありません。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 は妥当です。
（類題 104-118）。

選択肢 5 は
ビタミン B₁ についての記述です。

以上より、問 237 の正解は 1,4 です。