問 題
次の抗悪性腫瘍薬のうち、DNA の塩基部分をアルキル化するのはどれか。1 つ選べ。
解 説
抗がん剤のうち、アルキル化剤であれば、ナイトロジェンマスタードやシクロホスファミドのように、N からクロロアルカンが2つ伸びているものはないか・・・?(参考 101-132 A ナイトロジェンマスタードの構造)。と考え、見つからず悩む問題ではないでしょうか。
本問選択肢の構造は めちゃくちゃ構造好きや、薬好きの中には、全て何の薬かわかる人がいると思います。しかし、国家試験対策として必要なレベルは超えていると考えられます。また、化学の問題であることもふまえて考えれば、それぞれの構造と薬の対応がわからずとも、官能基から判断できる問題と推測します。すると、特徴的な部分構造として、選択肢 2 の構造における「窒素を含むヘテロ3員環が」目に付くのではないでしょうか。
ヘテロ3員環として、酸素を含む エポキシドの開環反応(参考 有機化学まとめ オキシラン類(エポキシド)の開環反応)も連想すれば、反応性が高そうだし、DNA の塩基部分とも この部分を反応点として反応し、結果としてアルキル化してもおかしくないのではないか、と推測し、選択肢 2 を選べるといいな、という問題です。
ちなみに
選択肢 1 はイマチニブです。
BCL-ABL チロシンキナーゼ選択的阻害薬です。(参考 105-59)。
選択肢 2 はマイトマイシン C です。
抗悪性腫瘍薬です。
選択肢 3 は タモキシフェンです。
ER (エストロゲン受容体)遮断薬です。※乳腺では抗エストロゲン作用をあらわすが、子宮内膜や骨においてはエストロゲン様作用をあらわします。(参考 104-254255)。
選択肢 4 は テガフールです。
代謝されてフルオロウラシルになる プロドラッグです。(参考 製剤学まとめ 代表的なプロドラッグ)。
選択肢 5 は リュープロレリンです。
性腺刺激ホルモン放出ホルモン(Gn-RH :gonadotropin-releasing hormone)誘導体の一種です。
以上より、正解は 2 です。
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