薬剤師国家試験 第107回 問106 過去問解説

 問 題     

ボルテゾミブは、プロテアソームの β5 サブユニットの N 末端トレオニン残基と結合し複合体を形成することにより、プロテアソームの働きを阻害する。以下の記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. ア で示した複素環はピリミジン環である。
  2. イ で示した不斉中心の立体配置は S 配置である。
  3. ウ で示したホウ素はルイス酸として働く。
  4. エ で示したホウ素の形式電荷は +1 である。
  5. エ で示したホウ素は sp3 混成である。

 

 

 

 

 

正解.3, 5

 解 説     

選択肢 1 ですが
ピリミジン環は、ベンゼンの 1,3 位の炭素が窒素で置換されたものです。一方、ア で示された複素環は、ベンゼンの 1,4 位が置換されたもの(ピラジン)です。(104-9)。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
イ で示した不斉中心の立体配置は、以下のように R です。

選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 は妥当です。
ルイス酸とは空の電子軌道を有しており、電子対を受け取るものです。(類題 99-9

選択肢 4 ですが
ホウ素 B の最外殻電子は3です。これが基本の数となります。次に、現在の電子数を数えます。数え方のルールとしては「共有結合1個につき、電子1」と数えます。「孤立電子対があれば、2」です。

エ で示したホウ素 からは結合が 4本 あることが読み取れます。つまり、電子数4です。

基本の数より、電子数が1増えています。電子が増えていれば、符号としてマイナスをつけます。(電子が基本の数よりも少なくなっていたら、符号としてプラスをつけます。)。

以上より、エ で示したホウ素の形式電荷は ー1 です。
+1ではありません。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 は妥当です。
B から出る結合が4本なので sp3 です。

以上より、正解は 3,5 です。

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