薬剤師国家試験 第107回 問55 過去問解説

 問 題     

吸収促進剤の添加により水溶性薬物の吸収を改善した薬剤はどれか。1 つ選べ。

  1. バラシクロビル錠
  2. セフチゾキシムナトリウム坐剤
  3. イトラコナゾール内用液
  4. シクロスポリン内用液
  5. カンデサルタンシレキセチル錠

 

 

 

 

 

正解.2

 解 説     

選択肢 1 ですが
バラシクロビルは、アシクロビルのプロドラッグです。アシクロビルに変換された後、単純ヘルペスウイルス由来のチミジンキナーゼでリン酸化され、ウイルス DNA の複製を抑制します。(102-164)。アシクロビルと L  -バリンがエステル結合を介して連結した構造を有します。(104-213)。吸収促進剤の添加により、吸収改善した薬剤ではありません。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 は妥当です。
他の選択肢が違う という消去法で選ぶのが現実的だと思われます。

選択肢 3 ですが
イトラコナゾールは、アゾール系抗真菌薬です。爪白癬の内服治療薬として用いられている(97-292293 など)ことから、吸収が悪いわけではないと考えられるのではないでしょうか。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
シクロスポリンは、免疫抑制剤です。カルシニューリンインヒビターです。疎水性の高い薬品です。「水溶性薬物」ではないと判断したい選択肢です。ちなみに、ネオーラル が、自己乳化型マイクロエマルジョン製剤(106-284285) であることも関連づけておさえておきましょう。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
カンデサルタンシレキセチルは、吸収改善が目的のプロドラッグです。エステル化することにより脂溶性を向上させて吸収改善を実現しています。(構造式について、100-106 参照)。吸収促進剤の添加により水溶性薬物の吸収を改善した薬剤ではありません。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 2 です。

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