薬剤師国家試験 第106回 問194 過去問解説

 問 題     

ある疾患の発症予防薬 A の評価を行うため臨床試験の文献を収集したところ、下記の情報を得た。この試験に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

(臨床成績)

発症リスクを有する被験者 1,000 名を無作為にプラセボ投与群又は A 投与群に割り付け、2 年間追跡した。その結果、発症の有無を比較したデータ (下表) が得られ、Aが発症予防に有効であることが示された (P<0.01) 。

  1. プラセボ効果の影響を除くために、無作為割り付けが行われている。
  2. この試験は観察研究に分類される。
  3. Aの治療必要数 (NNT) は25人である。
  4. Aによる発症の絶対リスク減少は 4% である。
  5. Aによる発症の相対リスク減少は 20% である。

 

 

 

 

 

正解.3, 4

 解 説     

選択肢 1 ですが
無作為割付は、被験者側の要因に基づいたグループ分けなどによる薬効への影響を除くための研究デザインです。プラセボの影響を除くためではありません。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
投与群があり、介入研究です。(観察研究の例 103-191。)選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3,4 は妥当です。
NNT = 1/絶対リスク減少 です。プラセボ投与群のリスクは 30/500、A 投与群のリスクは 10/500 なので、絶対リスク減少は 30/500ー10/500 = 20/500 = 2/50 なので 4% です。1/0.04 = 25 が NNT です。(参考 101-193)。

選択肢 5 ですが
相対リスク減少=1-相対リスク です。相対リスクは 10/500 ÷ 30/500 = 1/3 なので、相対リスク減少は1-1/3 = 2/3 ≒ 67% です。(衛生薬学まとめ 要因・対照研究(コホート研究)、相対危険度、寄与危険度)。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 3,4 です。

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