薬剤師国家試験 第103回 問191 過去問解説

 問 題     

抗不整脈薬投与患者で低血糖の症例をしばしば経験した薬剤師が、自施設の患者における抗不整脈薬の服用と低血糖の発症との関連性を調査した。

低血糖発症患者(n=90)と、年齢及び性別でマッチングした低血糖非発症患者(n=450)を選択して、過去1年間のカルテを調査した。対象患者における抗不整脈薬A、B、Cの処方の有無を調査した結果を表に示す。

次の記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. この調査はコホート研究に分類される。
  2. この調査は介入研究に分類される。
  3. A非服用者を対照とした場合、A服用者の低血糖発症のオッズ比は1である。
  4. 低血糖の発症リスクはB非服用者より、B服用者の方が高い。
  5. 低血糖の発症リスクはCの方が他の2剤に比べて高い。

 

 

 

 

 

正解.3, 5

 解 説     

選択肢 1 ですが
コホート研究(要因・対照研究)は前向き研究の一種です。本問の調査は、後ろ向き研究の一種です。よって、選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
介入研究とは、疾病と因果関係があると考えられる要因に積極的に介入する研究です。例えば解毒剤を投与した群と、そうでない群の有病率を調べるといった研究になります。本問の調査では介入は見られません。よって、選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 は、正しい記述です。
Aあり・・・a=5,b=85、Aなし・・・c=25,d=425 という表を考えてオッズ比である ad/bc を考えると、ちょうど1です。

選択肢 4 ですが
B服用者の低血糖発症リスクは 3/90  = 1/30(約分しました。) = 5/150 です。(後のために、分母を150 にしています。)

一方、B「非」服用者の低血糖発症リスクは 21/450  = 7/150 です。よってB「非」服用者の方がリスクが高いと考えられます。よって、選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 は、正しい記述です。
n = 90 に対して、最も多い 10 が発症しています。

以上より、正解は 3,5 です。

参考 衛生薬学まとめ 疫学の種類・方法症例対照研究、オッズ比要因・対照研究(コホート研究)、相対危険度、寄与危険度

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