胃、小腸、大腸の機能と構造

胃の機能は大きく4つです。
1つめは食物の消化です。
ペプシンという酵素によって、タンパク質がペプチドに分解されます。ペプシンは、ペプシノーゲンという前駆体の形で、主細胞から分泌されます。又、胃の運動により機械的にも消化が行われます。

2つめは、胃酸分泌による pH の維持です。
殺菌作用や、ペプシンにとって最適な pH が保たれるといった機能を果たしています。胃酸分泌は胃の壁細胞が行なっています。壁細胞の膜に存在するプロトンポンプ(H+ ,K+ -ATPase)により H+ が供給されます。プロトンポンプは、壁細胞に発現しているM(ムスカリン)受容体、H2 (ヒスタミン)受容体、G(ガストリン)受容体が刺激されると活性化します。

3つめは、粘液物質による胃粘膜の保護及び細菌・ウイルス感染の予防です。
これらの粘液物質は防御因子とも呼ばれます。

4つめは、ビタミン B12 の吸収に必要な内因子と呼ばれる糖タンパク質の産生です。
これは壁細胞が行なっています。

胃の構造の特徴としては、入り口を噴門、出口を幽門と呼ぶことが特徴です。

小腸の機能は、消化・吸収です。
胃から送られてきた食物は、まず十二指腸に入ります。十二指腸には膵液が分泌されています。膵液はアルカリ性なので、胃酸が中和され、これ以降の腸を酸により攻撃しない仕組みになっています。

更に、膵液には種々の酵素が含まれており、消化が行われます。この液と食物がよく混ざり合うように、小腸は蠕動、分節、振子運動といった様々な運動をおこしています。

小腸は、十二指腸、空腸、回腸という3つの部分からなります。消化を効率よく行うために小腸は表面がひだひだ構造(絨毛)になっており、表面積を大きくする構造になっていることが大きな特徴です。

又、消化管を支配する神経系として、内在神経があることも大きな特徴です。内在神経は大きく2つあります。

1つはアウエルバッハ神経叢です。
これは腸管を輪切りにした時に、異なる筋肉が層状になっているため年輪のような模様が見えるのですが、丁度年輪部分に存在します。輪状筋と縦走筋の間にあると表現されます。この神経叢は、小腸の蠕動運動に関与します。

もう1つは、マイスネル神経叢です。マイスネル神経叢は、より内側の粘膜組織に存在し、腺分泌などに関与します。

大腸の機能は、水分吸収、電解質吸収です。更に、大腸には腸内細菌が多く住みついており、消化を助けています。

大腸は、盲腸、結腸、直腸に別れ、結腸はさらに方向性から上行、横行、下行、S字に分けられます。これらに消化機能はほとんどありません。

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