国家公務員総合職(化学・生物・薬学)R1年 問97解説

 問 題     

ヒトのゲノムインプリンティングに関する次の記述の㋐~㋓に当てはまるものの組合せとして最も妥当なのはどれか。

「ゲノムインプリンティングとは、両親に由来する対立遺伝子のうち一方だけが、生殖細胞系で㋐ によりサイレンシングを受ける現象である。母系のインプリンティングを受ける遺伝子の欠失変異は、 ㋑ に伝わった場合は変異の影響が現れずに受け継がれる。一方、 ㋒に伝わった場合、 ㋒ の子供には、 ㋓ 50 % の確率で欠失変異の影響が現れる。」

 

 

 

 

 

正解.3

 解 説     

㋐ ですが
ゲノムインプリンティングとは、哺乳類の配偶子形成に特徴的な、同じ遺伝子を 2 つ受け継いだ時に、片方から受け継いだ遺伝子のみが発現することを意味する用語です。実体は「メチル化」です。正解は 1 ~ 3 です。(30-98)

㋑~㋓ ですが
母系のインプリンティングを受ける遺伝子 を Gm(欠失あり)とします。父から受け継ぐ対立遺伝子を Gf とします。(遺伝子の G、mother の m、father の f から名付けています。)

すると、子世代について GmGf という遺伝子を受け継ぎ、母系インプリンティングを受けるから、この遺伝子のうち意味をなすのは父系の Gf のみです。従って、子世代において、息子であろうが娘であろうが、この世代において欠失の影響は表れません。

そして、配偶子形成するのですが、母系のインプリンティングを受ける遺伝子なので、仮に娘の配偶子が Gm であろうが Gf であろうが、インプリンティングで結局次の世代でも意味をなしません。㋑ は「娘」です。

一方、息子だった場合、50% の確率で、配偶子に含まれるのが Gm の方になります。つまり欠失ありです。父由来なので、次の世代で意味をなします。すると、息子の子供には欠失変異の影響が現れることになります。この場合、息子の子供の性別にはよりません。㋒ は息子、㋓ は性別によらず です。

以上より、正解は 3 です。

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