国家公務員総合職(化学・生物・薬学)R1年 問43解説

 問 題     

固定相としてオクタデシルシリル化シリカゲル(ODS)、移動相として水-アセトニトリル混液を用いる高速液体クロマトグラフィーに関する記述㋐~㋓のうち妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。

㋐ 一般的に、分子量の大きな物質ほどカラムに保持されやすい。
㋑ 移動相中のアセトニトリル含量を増やすと、質量分布比k’ は小さくなる。
㋒ 理論段数N が大きいカラムを用いると、同じ保持時間ならば、ピーク幅が狭くなる。
㋓ 分離係数a が1 のとき、二つのピークは完全に分離している。

1.㋐、㋑
2.㋐、㋑、㋓
3.㋑、㋒
4.㋑、㋒、㋓
5.㋒、㋓

 

 

 

 

 

正解.3

 解 説     

㋐ ですが
「疎水性」が大きい物質ほど、固定相に吸着するためカラムに保持されやすいです。「分子量」ではありません。㋐ は誤りです。

㋑ は妥当な記述です。
質量分布比 とは、別名 保持係数 です。サンプル成分が移動相にいる時間と、固定相にいる時間の相対比です。つまり「どれだけ固定相によって、サンプルの移動が遅くなるか」を表すパラメータです。アセトニトリルは、水と比べれば極性が低いため、サンプルにおける固定相に吸着しやすい成分が移動しやすくなると考えられます。従って、質量分布比は小さくなります。(99-97)

㋒ は妥当な記述です。
理論段数が大きい=いいカラム→ピークはシャープ です。

㋓ ですが
分離係数1とは、ピークが出てくるまでの時間が同じ ということです。従って、ピークは分離していません。㋓ は誤りです。(101-4)

以上より、正解は 3 です。

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