国家公務員総合職(化学・生物・薬学)R1年 問31解説

 問 題     

ヒドロキシ基をもつ化合物の性質及び反応に関する次の記述の㋐~㋓に当てはまるものの組合せとして最も妥当なのはどれか。

・1‒プロパノールの沸点は、同じ炭素数をもつ2‒プロパノールの沸点よりも㋐。

・ 脂肪族アルコールにアルカリ金属を反応させると水素が発生するが、このときの反応性は第一級アルコールよりも第三級アルコールの方が㋑。

・  ヒドロキシ基は合成戦略上、しばしば一時的に保護される。よく用いられる保護基として t ‒ブチルジメチルシリル基があり、一般的に ㋒ 条件で除去することができる。

・  ベンゼンに直接ヒドロキシ基を導入してフェノールを合成することは困難である。しかし、ハロゲンのような脱離基があり、さらにそのオルト位やパラ位に ㋓ をもつ芳香族化合物を用いる場合、求核置換反応が進行し、フェノール類が生成する。

 ㋐ ㋑ ㋒ ㋓
1.高い 高い 酸性  電子求引性基
2.高い 低い 塩基性 電子求引性基
3.高い 低い 酸性  電子求引性基
4.低い 高い 塩基性 電子供与性基
5.低い 低い 酸性  電子供与性基

 

 

 

 

 

正解.3

 解 説     

㋐ ですが
分岐がある方(2 – プロパノール)が空間に敷き詰めた時にみっちり詰めれないため、分子間力が相対的に小さいと考えられます。分子間力が小さい分、2-プロパノールの方が沸点が低いと考えられます。従って、1-プロパノールの沸点は、2ープロパノールの沸点よりも「高い」です。正解は 1 ~ 3 です。

㋑ ですが
第3級アルコールの方が立体障害が大きく、アルカリ金属が近づきにくいため、反応性が「低い」と考えられます。正解は 2 or 3 です。

㋒ ですが
t – ブチルジメチルシリルは、TBDMS と略される保護基です。脱保護は、有機溶媒中でフッ化テトラ-n-ブチルアンモニウム (TBAF) を作用させるのが一般的です。TBAF は 4 級アンモニウム塩です。TBAF が4級アンモニウム塩になっていることから、NH3 に H がくっつくような条件 → 酸性条件 と考えるとよいかもしれません。「酸性条件」で除去となります。

㋓ ですが
芳香族求核置換反応についての記述です。オルト位 やパラ位に「電子吸引性基」、つまり ニトロ基などがある場合に進行します。㋓は「電子吸引性基」です。

以上より、正解は 3 です。

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