国家公務員総合職(化学・生物・薬学)H30年 問56解説

 問 題     

食後投与された薬物の吸収に関する記述 ㋐ 〜 ㋓ のうち妥当なもののみを挙げているのはどれか。

㋐ プロプラノロールは、肝血流量が増加し、初回通過効果を受ける割合が減少するため、吸収が増大する。

㋑ リボフラビンは、十二指腸に分泌される胆汁酸により、リボフラビンの可溶化が促進されるため、吸収が増大する。

㋒ インドメタシンファルネシルは、胃から徐々に十二指腸に排出されるため、そこに局在しているトランスポーターの飽和が起こらず、吸収は増大する。

㋓ アトロピン、プロパンテリンやイミプラミンは、胃内容排出速度が低下するため、吸収は遅延する。

1.㋐、㋑
2.㋐、㋒
3.㋐、㋓
4.㋑、㋒
5.㋑、㋓

 

 

 

 

 

正解.3

 解 説     

㋐ は妥当な記述です。
まず、プロプラノロールは代表的肝血流量依存薬物です。これは基礎知識です。そして、食後なので、肝血流量は増加です。

㋑ ですが
リボフラビンはビタミン B2 です。水溶性です。脂肪を乳化する胆汁酸により可溶化が促進されるという記述は妥当ではないと考えられます。よって、㋑ は誤りです。

㋒ ですが
インドメタシンファルネシルは脂溶性なので、食後投与により、胆汁酸の可溶化作用により吸収増大します。「トランスポーターの飽和が起こらず」ではありません。よって、㋒ は誤りです。

㋓ は妥当な記述です。

以上より、正解は 3 です。

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