国家公務員総合職(化学・生物・薬学)H30年 問55解説

 問 題     

薬物とタンパク質の結合に関する記述㋐〜㋓のうち妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。

㋐ アルブミンは、特にリドカイン、イミプラミン等と強く結合しやすい。
㋑ 高齢者では、タンパク結合の強い薬物の組織移行性が高まる。
㋒ α1 ー 酸性糖タンパク質は、特にインドメタシンやワルファリン等と強く結合しやすい。
㋓ α1 ー 酸性糖タンパク質は、外傷や心筋梗塞等の病態において増加する。

1.㋐、㋑
2.㋐、㋒
3.㋑、㋒
4.㋑、㋓
5.㋓

 

 

 

 

 

正解.4

 解 説     

㋐ ですが
アルブミンと結合しやすい、つまり蛋白結合率が大きい薬物としては、シクロスポリン、タクロリムス、ワルファリン、プロフェン、プロプラノロール、アミオダロン、クロルプロマジン、ジギトキシンなどがあげられます。リドカインは 60 ~ 80% とやや高い結合率です。また、イミプラミンは代表的塩基性薬物です。α1-酸性糖タンパク質と結合しやすいといえます。よって、㋐ は妥当ではないと考えられます。

㋑ は妥当な記述です。
高齢に伴う、血清アルブミン量の低下に伴い、薬物組織移行性が高まります。

㋒ ですが
α1-酸性糖タンパク質は、塩基性薬物(リドカイン、イミプラミンなど)との親和性が高いことがポイントです。インドメタシンやワルファリンは、タンパク結合率が高い代表的薬物です。つまり、アルブミンと強く結合しやすいです。よって、㋒ は誤りです。

㋓ は妥当な記述です。

以上より、正解は 4 です。

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