国家公務員総合職(化学・生物・薬学)H29年 問102解説

 問 題     

海洋・沿岸の生態系に関する記述㋐〜㋓のうち妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。

㋐ 大気中の二酸化炭素濃度が上昇すると、海水中の炭酸イオン濃度が高まり、サンゴの骨格の生成が促進される。

㋑ 熱帯や亜熱帯の河川感潮域などに成立するマングローブは、主に耐塩性の木本から成り、南西諸島にも自然分布している。

㋒ 夏季、温帯域の外洋の有光層では、光と栄養塩類が豊富であり、植物プランクトンは盛んに増殖する。

㋓ 深海の水が海面に湧き上がる湧昇域では、低水温により生物生産速度が低いため、漁場としては不適当である。

1.㋐、㋑、㋒
2.㋐、㋓
3.㋑
4.㋑、㋓
5.㋒、㋓

 

 

 

 

 

正解.3

 解 説     

㋐ ですが
CO2 濃度が上昇すると、海洋の酸性化が進行し、石灰化に必要な炭酸イオン濃度が「下がります」。これにより骨格生成は阻害されます。よって、㋐ は誤りです。

㋑ は妥当な記述です。

㋒ ですが
一般に、夏季、温帯域では、一次生産による栄養塩の消費に対し、再生が不足しやすいです。従って「栄養塩類が豊富」という記述は不適切です。よって、㋒ は誤りです。

㋓ ですが
「湧昇域」とは、下層の栄養塩に富む水が運ばれてくる流域です。非常によい漁場です。よって、㋓ は誤りです。

以上より、正解は 3 です。

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