国家公務員総合職(化学・生物・薬学)H28年 問83解説

 問 題     

両生類胚の発生に関する記述㋐〜㋓のうち妥当なもののみを挙げているのはどれか。

㋐ アニマルキャップを切り出して単独でそのまま培養すると、表皮外胚葉へと分化する。
㋑ 胞胚期における接合子ゲノムの転写開始前後で卵割のスピードは変化しない。
㋒ 切り出したアニマルキャップを植物極の組織と一緒に培養すると、消化管が誘導される。
㋓ 胞胚期に存在するニューコープ(Nieuwkoop)センターは、シュペーマンオーガナイザーを誘導する。

1.㋐、㋒
2.㋐、㋓
3.㋑、㋒
4.㋑、㋓
5.㋒、㋓

 

 

 

 

 

正解.2

 解 説     

㋐ は妥当な記述です。
「アニマルキャップ」とは、卵の動物極側の一部分を切りだしたものです。ちなみに、植物極側のみ取り出して単独培養すると、消化管類似の内胚葉になります。そして、2 つ結合して培養すると、典型的中胚葉構造が形成されます。

㋑ ですが
転写開始前は、既に与えられていた母性 mRNA を用いてタンパク合成が行われており、速度は速いです。転写開始後は、その過程も加わるため、遅くなります。よって、㋑ は誤りです。

㋒ ですが
消化管は内胚葉構造といえます。誘導されて「中胚葉構造」が形成されます。よって、㋒ は誤りです。

㋓ は妥当な記述です。
「ニューコープセンター」は、植物極側の特に背側帯域部分のことです。

以上より、正解は 2 です。

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