国家公務員総合職(化学・生物・薬学)H28年 問32解説

 問 題     

次の ㋐、㋑、㋒ の反応による主生成物を、それぞれの a、b から選び出したものの組合
せとして最も妥当なのはどれか。

㋐ ㋑ ㋒
1. a a a
2. a a b
3. a b b
4. b b a
5. b b b

 

 

 

 

 

正解.2

 解 説     

㋐ ですが、カルボニル(C=O) の C に OHがアタックし、18OーC2H5 が脱離するので、 a が妥当です。

㋑ ですが、NaI が基質であるエーテルのメチル基側の炭素を求核攻撃すれば a が、シクロヘキシル基側の炭素を求核攻撃すれば b が生成します。

メチル基側(第1級炭素)は隣接する酸素に電子を引っ張られてδ+になっているのに対し、シクロヘキシル基側(第3級炭素)は電子を引っ張られても隣接炭素から電子が供与されるので、δ+の度合いが弱くなります。

よって、NaI の I はメチル基側をアタックするため、a が正しいです。

㋒ ですが
アルケンのハロゲン付加なので、まず、環状ブロモニウムイオンが中間体として形成されます。この中間体に関して、環が開き、それぞれの炭素が正電荷を持った形の共鳴構造を考えることができます。この時、メチル基を有する炭素の方が、カルボカチオンが安定です。

従って、そちらが求核攻撃を受ける結果、「メチル基を有する方に OH」がつく方が主生成物になると考えられます。b が妥当です。

以上より、正解は 2 です。

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