国家公務員総合職(化学・生物・薬学)H28年 問4解説

 問 題     

物質 X の窒素含量を次のケルダール法によって求めた。X の窒素含量(質量パーセント)はおよそいくらか。ただし、窒素の原子量を 14. 0 とする。

① X を 1. 00 g 量り取り、濃硫酸を加えて加熱し、含まれる窒素を全てアンモニアに転換した。

② ①の反応液を希釈し、過剰の濃水酸化ナトリウム水溶液を加えてアンモニアを遊離させ、発
生するアンモニアを 0. 100 mol・L-1 の硫酸水溶液 50. 0 mL に完全に吸収させた。このとき
硫酸水溶液の体積は変化せず 50. 0 mL のままであった。

③ ②の硫酸水溶液を 20. 0 mL 量り取り、フェノールフタレインを加え、0. 20 mol・L-1 の水酸化ナトリウム水溶液で滴定したところ、中和点までに 9. 3 mL 要した。

1. 2. 6 %
2. 4. 3 %
3. 5. 3 %
4. 7. 5 %
5. 9. 3 %

 

 

 

 

 

正解.4

 解 説     

X 1.00g に、N が x mol 入っているとします。 ① の操作により、N は NH3 に転換されます。これで NH3 が x mol となります。

アンモニアの遊離→吸収させる、という流れは、アンモニアが移動しているだけです。0.1 mol/L の硫酸水溶液 50 mL 中にアンモニアが取り込まれます。

次の操作 ③ で、50 mL から 20 mL とっているため、アンモニアは 0.4x mol 含まれています。

0.1 mol/L の硫酸 20mL は、そのままであれば 0.2 mol/L の NaOH 20 mL で中和されます。ところが 9.3 mL しか中和点までに要していません。これは NaOH 10.7mL 分が、既にアンモニアで中和されていたと考えられます。

0.2 mol/L × 10.7 mL = 2.14 × 10-3 mol が、20mL 中に含まれていたアンモニアの mol とわかります。従って、0.4x = 2.14 × 10-3 です。∴ x = 5.35 × 10-3 mol です。

窒素の分子量は 14 なので、物質 X に含まれていた窒素含量は 5.35 × 10-3 × 14 g = 74.9mg となります。物質 X 1g 中に、窒素が ほぼ 75mg 含有なので、7.5% です。

以上より、正解は 4 です。

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