国家公務員総合職(化学・生物・薬学)H28年 問5解説

 問 題     

1、3ーブタジエンの求電子付加反応に関する次の記述の ㋐ 〜 ㋓ に当てはまるものの組合せとして最も妥当なのはどれか。

「1、3ーブタジエンに臭化水素が付加するとき、主な生成物には、図Ⅰの化合物 A(3ーブロモー1ーブテン)と化合物 B(1ーブロモー2ーブテン)がある。発熱量については、㋐ が生成する方が大きい。すなわち、熱力学的に安定な生成物は ㋐ の方である。

また、この反応では、まず、H+ が求電子試薬として二重結合を攻撃する。このとき中間体として、アリル型カチオンが生成し、非アリル型カチオンはほとんど生成しない。このアリル型カチオンには、図 Ⅱ のカチオン C 及びカチオン D の共鳴構造があり、これらのうち、㋑ の方がより安定である。すなわち、反応速度が速いのは ㋒ が生成する反応である。この付加反応を 0 ℃ 及び 40 ℃ で行った場合、生成物の割合は、㋓ なる。」

 

 

 

 

 

正解.3

 解 説     

㋐ ですが
化合物 A は末端アルケン、化合物 B は内部アルケンです。より安定な化合物は B です。正解は 3 ~ 5 です。

㋑、㋒ ですが
カルボカチオンは、第一級よりも第二級が安定です。より安定なカチオンは C です。正解は 3 or 4 です。

㋓ ですが
低温では速度論支配的、高温では熱力学支配的に反応が進行します。つまり、0 ℃ では、C を経る A が多く、40 ℃ では、生成物が安定である B が多くなります。

以上より、正解は 3 です。

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