国家公務員総合職(化学・生物・薬学)H27年 問21解説

 問 題     

部分可溶液体の相数及び組成について考える。ヘキサン 0.59 mol とニトロベンゼン 0.41 mol の混合物の大気圧下の状態に関する ㋐ ~ ㋓ の記述のうち妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。ただし、大気圧下のヘキサンとニトロベンゼンの温度-組成図は上図のとおりである。

㋐ 大気圧下、混合物が2相に分離している温度範囲において、温度を決めるとギブズの相律の自由度が0となり各相の組成は一意に定まる。
㋑ 混合物を1相にするには、混合物の温度を 294K まで上げなければならない。
㋒ 混合物を 290K にしたときヘキサンに富む相の物質量とニトロベンゼンに富む相の物質量の比は,概ね 7:1 になっている。
㋓ 290K において、2相になっている混合物にヘキサンを少しずつ加えていくと、ヘキサン 2.5 mol 加えたところで1相になる。

1. ㋐
2. ㋐ ㋒
3. ㋐ ㋓
4. ㋑ ㋓
5. ㋑ ㋒ ㋓

 

 

 

 

 

正解.2

 解 説     

㋐ は妥当な記述です。
 F = C – P + 2 です。F が自由度、C が成分の数、P が相の数です。C = 2, P = 2 において、温度と圧力が指定されているので、自由度は 0 です。

㋑ ですが
ヘキサン 0.59 mol、ニトロベンゼン 0.41 mol なので、ニトロベンゼンのモル分率が 0.41 です。モル分率を 0.4 とみなして、表の横軸が 0.4 のところを真上に見れば、294 よりも低いところで 線をまたぎます。よって 294 よりも低い温度で 1 相になると読み取れます。よって、㋑ は誤りです。

㋒ は妥当な記述です。
290 K における、左右の足の長さの比が 0.06:0.42 = 1:7です。この逆比が物質量の比なので7:1です。 

㋓ ですが
ヘキサンを加えていくので、ニトロベンゼンのモル分率が 少しずつ少なくなります。表でいえば、左側へ移動していきます。すると、ニトロベンゼンのモル分率が 0.35 になった時点で 1 相になると考えられます。そのためには、ベンゼンは 2.5 mol も必要ではありません。よって、㋓ は誤りです。

以上より、正解は 2 です。
類題 H26no21

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