国家公務員総合職(化学・生物・薬学)H27年 問20解説

 問 題     

酸塩基に関する記述 ㋐ ㋑ ㋒ のうち妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。

㋐ 60 °C における純水の pH の値は 7.0 である。
㋑ 水溶液中では、水平化効果により、強酸の酸性度は全て H3O+ の酸性度に等しくなる。
㋒ Fe3+ とそれに配位するハロゲン化物イオンとの生成定数(安定度定数)は F < Cl < Br < I の順に大きくなる。

1. ㋐ ㋑
2. ㋐ ㋒
3. ㋑
4. ㋑ ㋒
5. ㋒

 

 

 

 

 

正解.3

 解 説     

㋐ ですが
純水の pH は、25 ℃付近では ほぼ 7.0 です。しかし、温度によってかなり変化するため、誤りと判断したい記述です。正確な値を覚える必要はありませんが、大体 60 ℃であれば 6.5 と知られています。

㋑ は妥当な記述です。
水の中で完全にイオン化する強酸同士では、強酸のプロトンが完全に水に移るため、酸の強さの大小が比較できないことを、酸の水平化効果と呼びます。

㋒ ですが
鉄イオンなどの、比較的軽い陽イオンは、F- > Cl- > Br- > I- の順序で安定な配位結合を生成します。ちなみにですが、銀イオンなどの比較的重い陽イオンでは、逆の順序で安定な配位結合を生成します。これらの経験則は、”硬い酸”とは”硬い塩基”が反応しやすい、という HBSC 原理で整理できるとされています。

以上より、正解は 3 です。

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