国家公務員総合職(化学・生物・薬学)H27年 問16解説

 問 題     

図のように、真空中の xy 平面上の点 A (0,d) 及び点 B (0, -d) に電荷 q の点電荷が固定されている。点C (-√ 3d , 0) から、質量 m、 電荷 2q の小球を x 軸の正の向きに速さ v で発射するとき、原点O (0, 0) に到達するために必要な v の最小値として最も妥当なのはどれか。ただし真空の誘電率を ε0 とし小球に作用する重力は無視できるものとする。

なお、真空中において、電荷 Qx の点電荷 X と電荷 QY の点電荷 Y が距離 r 離れて置かれているとき、X、Y の間には F = QxQY/4πε0r2 の静電気力が働き X Y の電気的な位置エネルギーをそれぞれ Ux,UY とすると、Ux、UY は無限遠を基準(r =∞ のとき Ux = UY = 0) として
Ux = UY = QxQY/4πε0r で表される。

 

 

 

 

 

正解.4

 解 説     

電気的な位置エネルギーとは、電位といえます。電位はスカラー量なので、点 A、点 B それぞれの点電荷が作る電位を単純に足し合わせたものが、点 C における電気的な位置エネルギーです。

各点電荷による電気的な位置エネルギーは、電荷 q,2q,距離が 2d なので

それぞれの点電荷による電気的な位置エネルギーを足し合わせると、2倍すればよいので

次に、到達したい原点 O の電気的な位置エネルギーを考えます。電荷 q,2q,距離が d で、それぞれの電荷による位置エネルギーを足し合わせると q2/πε0d です。差を計算すると、以下のようになります。

一方、質量 m、速さ v で発射された小球が持つ運動エネルギー K は、K = mv2/2 と表されます。位置エネルギーの差 ≦ 運動エネルギー であれば、原点 O に到達すると考えられます。不等式を、v について解くと、以下のようになります。

以上より、正解は 4 です。

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