国家公務員総合職(化学・生物・薬学)H27年 問15解説

 問 題     

ある銀河のスペクトルを観測したところ、波長 589.0 nm に相当する吸収線の波長が、590.9  nm と観測された。観測点からこの銀河までの距離はおよそいくらか。

ただしハッブル定数 H を 70 km/(s・Mpc)、光の速度 c を 3.0 × 105 km/s、1Mpc(メガパーセク)を 326 万光年とする。またハッブルの法則によれば銀河の後退速度 V[km/s] 、銀河までの距離 r[Mpc] の間には V = Hr の関係が成り立つ。

なお同一直線上で観測者光源が相対速度 v で離れていく場合、光源の出す光の振動数を f
とすると観測される光の振動数 f’ は、f’≒f × c/(c+v) で近似される。

1. 26百万光年
2. 45百万光年
3. 54百万光年
4. 90百万光年
5. 140百万光年

 

 

 

 

 

正解.2

 解 説     

光源が動いているため、ドップラー効果を思い出します。ドップラー効果なので、音源(S)→観測者(O)方向を正とします。ドップラー効果の公式より f’ = f × c/(c – V) です。下図のようにまとめられます。

ドップラー効果の式を V について解きます。

ここで f/f’ は 589/590.9 なので、589/591 → 分母と分子の差が 2 という点に注目して 598/600 と近似し、299/300 とします。これにより、V ≒ c/300 です。V = Hr なので、r = V/H です。単位に注意します。1Mpc = 326 万光年なので、少しきりよく 325 万光年とした上で

以上より、正解は 2 です。

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