国家公務員総合職(化学・生物・薬学)H26年 問68解説

 問 題     

ダイオキシン類による環境の汚染の防止に関する次の記述のうち最も妥当なのはどれか。

1. ダイオキシン類対策特別措置法におけるダイオキシン類とは、ポリ塩化ジベンゾ – p – ジオキシン(PCDDs)、 ポリ塩化ジベンゾフラン(PCDFs)及びポリ塩化ビフェニル(PCBs)である。これ
らの構造は、図のとおりであり、塩素が結合する数と位置により多くの化合物が存在する。

2. ダイオキシン類の毒性は、置換塩素の数と位置によって大きく異なっており、2,3,7,8-テトラ
クロロジベンゾ – p – ジオキシン(2,3,7,8-TCDD)の毒性を1とした相対的な毒性を示す毒性等価係数(TEF)が定められている。

3. ダイオキシン類の毒性は、一般に、置換塩素の数が増えるほど増加する。1,2,3,4,5,6,7,8-オ
クタクロロジベンゾ – p – ジオキシンは、2,3,7,8-TCDD の約 3300 倍の毒性をもっており排出
が特に厳しく規制されている。

4. ダイオキシン類は多くの化合物の混合物であるため、排出ガス等に含まれるダイオキシン類の量について定める許容限度は、各化合物の実測濃度を TEF で割った値の総和である 2,3,7,8-TCDD毒性等量(TEQ)によって表されている。

5. ダイオキシン類の摂取許容量は、人が1年間にわたって摂取し続けたとしても健康に影響を及
ぼすおそれがない耐容1日摂取量(TDI)として、体重1kg 当たり 100pg-TEQ と定められてる。

 

 

 

 

 

正解.2

 解 説     

選択肢 1 ですが
S に違和感を覚えるのではないでしょうか。S ではなく O です。よって、選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 は妥当な記述です。

選択肢 3 ですが
置換塩素の数と毒性に相関はないことが知られています。よって、選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
TEF を「掛けた」値の総和です。割ってはいけません。よって、選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
耐容 1 日摂取量は、人が「一生」摂取しても大丈夫とされる量です。「1年間」ではありません。よって、選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 2 です。

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