国家公務員総合職(化学・生物・薬学)H26年 問31解説

 問 題     

ピリジンの塩基性に関する次の記述の ㋐ ~ ㋓ に当てはまるものの組合せとして最も妥当なのはどれか。

「脂肪族アミンの窒素原子の非共有電子対は ㋐ 軌道を占めている。一方ピリジンの窒素原子の非共有電子対は ㋑ 軌道を占めている。一般に軌道の ㋒ 性が強いほど電子は原子核に強く引き付けられる。そのためピリジンの塩基性は脂肪族アミンに比べて ㋓ と考えられる。」

 

 

 

 

 

正解.5

 解 説     

㋐ ですが、アンモニアやメチルアミンを考えれば、N の孤立電子対は sp3 混成軌道を占めていると考えられます。一方、ピリジン(ベンゼンの C が一個 N に置換)の N の孤立電子対は、芳香族性に関わっていないため、p 軌道ではありません。よって sp2 混成軌道を占めています。

電子が原子核に強く引きつけられるのは、一般に s 性が強いほどです。そのため、ピリジンの塩基性は 孤立電子対の占める軌道 の s 性が強いため、原子核に強く引きつけられています。結果としてより塩基性が「弱い」と考えられます。

以上より、正解は 5 です。

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