問 題
表面・界面張力に関する記述のうち正しいのはどれか。2つ選べ。
- 表面・界面張力は表面・界面過剰ギブズ自由エネルギーとして表すことができ、その単位はJ/m2で表される。
- 油滴が水中に存在するとき、サイズが小さい油滴ほどエネルギー的に安定である。
- 界面活性剤とは、表面・界面過剰ギブズ自由エネルギーを増大させる化合物の総称である。
- 食塩水は、純水に比べて表面張力が大きい。
- ヘキサンは、純水に比べて表面張力が大きい。
解 説
選択肢 1 は、正しい記述です。
表面張力の単位は、J/m2 もしくは N/m が用いられます。仕事の単位である 1J が、1N × 1m であるため、J/m2 だけ覚えておくと十分だと思います。
選択肢 2 ですが
サイズが小さい油滴は、サイズが大きい油滴よりも水と接する割合が大きくなります。(これは、おもち(油滴のたとえ)にきなこ(表面=水と接している部分 のたとえ)をつけて食べる時を想像するとわかりやすいと思います。
すごく小さなおもちに、きなこをたっぷりつけると、まるできなこを食べているような感じになりますね。つまり、きなこの割合がすごく大きくなります。一方、すごく大きなおもちに、きなこをたっぷりつけても、結局表面しかきなこはついておらずきなこがついていない部分が大部分になりますよね。)
油滴は疎水性なので、水と接する割合が大きいほどエネルギー的に不安定です。つまり、サイズが小さい油滴ほど、エネルギー的に不安定です。よって、選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 ですが
界面活性剤とは、表面・界面張力を減少させる化合物の総称です。よって、選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 は、正しい記述です。
NaCl のような表面不活性物質を加えると、界面張力は溶質の濃度上昇に伴い少しずつ増加します。
選択肢 5 ですが
表面張力とは、過剰エネルギーとして表すことができます。過剰エネルギーがなぜあるかといえば、水であれば周りの一部が表面では水でないから であり、ヘキサンであれば、周りの一部がヘキサンではないからです。
ここで、水同士は、水素結合という特徴的な強い力で結合しているため、水の表面における過剰エネルギー、すなわち水の表面張力の方がヘキサンの表面張力に比べて大きいと考えられます。(文献値によれば 水 約72、n – ヘキサン 約18 です。※ n – とは、「枝分かれのない」ぐらいの意味です。異性体との区別のため、つけられます。)よって、選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 1,4 です。
コメント