薬剤師国家試験 第99回 問95 過去問解説

 問 題     

低分子やイオンの水溶液中における拡散係数 D に関する記述のうち正しいのはどれか。2 つ選べ。ただし、理想状態における拡散を仮定する。

  1. D は水和による影響を受けない。
  2. D は溶液の粘度に反比例する。
  3. D は絶対温度に比例する。
  4. D は溶質の半径に比例する。
  5. D は溶質の濃度に比例する。

 

 

 

 

 

正解.2, 3

 解 説     

拡散係数とは、溶解速度に関するネルンスト-ノイエス-ホイットニー(Nernst-Noyes-Whitney)の式におけるパラメータです。

で表されます。η が溶液の粘度です。イメージとしては、ネバネバしてる液では溶解しにくいというイメージです。

r は粒子の半径です。イメージとしては、粒子の半径が大きいほど溶けにくいイメージです。T は温度です。温度が高いほうが溶けやすいイメージです。R、N、πは定数です。

選択肢 1 ですが
水和すると、粒子の半径が大きくなったようなものと考えられるので、r が変化します。水和による影響がないとはいえません。よって、選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 は正しい記述です。
粘度 η と、拡散係数 D は式より、反比例します。よって、選択肢 2 は正しいです。

選択肢 3 は正しい記述です。
絶対温度 T と、拡散係数 D は式より、比例します。よって、選択肢 3 は正しいです。

選択肢 4 ですが
溶質の半径 r と、拡散係数 D は式より、反比例します。よって、選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
溶質の濃度 C と、拡散係数 D は、式にCが入っておらず関係ありません。よって、選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 2,3 です。

参考)物理化学まとめ 拡散および溶解速度

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