薬剤師国家試験 第99回 問56 過去問解説

 問 題     

鉄欠乏性貧血において、上昇する検査値はどれか。1つ選べ。

  1. フェリチン
  2. 血清鉄
  3. ヘマトクリット
  4. ヘモグロビン
  5. 総鉄結合能

 

 

 

 

 

正解.5

 解 説     

選択肢 1 ですが
フェリチンとは、主に肝臓に蓄えている貯蔵鉄です。鉄欠乏性貧血においては、貯蔵鉄は消費されるため減少します。よって、選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
鉄欠乏性貧血では、血清鉄が減少しています。よって、選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
ヘマトクリット (Ht) 値とは、血液中に占める血球の体積(ほぼ赤血球の体積)の割合を調べる検査です。貧血では赤血球が減少するためヘマトクリット値も減少します。よって、選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
ヘモグロビンは、赤血球にある血色素です。酸素運搬を担っています。貧血では、赤血球と共にヘモグロビンが不足するためヘモグロビン値は減少します。よって、選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 は正しいです。
総鉄結合能とは、血清中のトランスフェリンと結合できる鉄の総量です。トランスフェリンとは血中において鉄を輸送しているタンパク質です。

貧血状態では、トランスフェリンと結合している鉄をどんどん離して、組織へと供給するため、血清中の鉄と結合していないフリーのトランスフェリンは増加します。よって、総鉄結合能は増加します。

以上より、正解は 5 です。

参考 病態・薬物治療学まとめ 貧血の病態生理、治療薬、注意点代表的な血液および血液凝固検査

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