薬剤師国家試験 第98回 問58 過去問解説

 問 題     

ネフローゼ症候群に関する記述のうち、正しいのはどれか。1 つ選べ。

  1. すべての場合に、高血圧を呈する。
  2. すべての場合に、低アルブミン血症を呈する。
  3. 高コレステロール血症になることはまれである。
  4. 浮腫を伴うことはまれである。
  5. 小児での発症はまれである。

 

 

 

 

 

正解.2

 解 説     

ネフローゼ症候群とは、高度のタンパク尿と、それに伴う血中低タンパク症(主にアルブミン濃度の低下)のことです。腎臓の機能低下が原因です。

腎臓の機能が正常である時は、アルブミンは糸球体を通過しません。すなわち、尿中へと排出されません。これは、糸球体の基底膜がマイナスの電気を帯びた状態にあり、アルブミンもマイナスの電気を帯びているため、チャージバリアによって通過を妨げられるからです。尿中にタンパク質(アルブミン)が見られるということはこの基底膜の障害、すなわち糸球体における障害を示唆します。よって、ネフローゼ症候群ならば、低アルブミン血症であるといえます。

以上より、正解は 2 です。

ちなみに、多くのネフローゼ症候群の患者において、浮腫(むくみ)がみられます。これは、血中タンパク質の濃度低下に伴い、浸透圧が減少し血管から周囲の組織へと水分が移行するためです。

類題 101-186
参考 病態・薬物治療学まとめ ネフローゼ症候群の病態生理、治療薬、注意点

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