97回薬剤師国家試験 問208-209解説

 問 題     

50歳男性。定期健康診断にて脂質異常症を指摘され、スタチン系薬剤による治療を開始することになった。

問208

スタチン系薬剤に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. 通常、作用が強力なスタチン系薬剤から開始し、より作用の弱いスタチン系薬剤に段階的に変更する。
  2. コレステロールの胆汁排泄を促進するため、胆石症に注意が必要である。
  3. プラバスタチン及びロスバスタチンは、シトクロムP450による代謝を受けないことから、薬物相互作用が少ないとされている。
  4. ピタバスタチンはプロドラッグであり、肝臓で加水分解を受けて活性体となる。
  5. 重篤な肝障害を有する患者への投与には注意が必要である。

問209

プラバスタチンナトリウムは、生体内で3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリルCoA(HMG-CoA)からメバロン酸が生成する反応を触媒する酵素Aに作用する。以下の記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. 酵素AがHMG-CoAを還元すると、メバロン酸が生成する。
  2. HMG-CoA及びメバロン酸の矢印で示した不斉炭素原子は、いずれもS配置である。
  3. プラバスタチンナトリウムは、で囲んだ部分がHMG-CoAとの構造類似性が高いため、酵素Aを競合阻害する。
  4. プラバスタチンナトリウムの環状部位は、親水性を示す。

 

 

 

 

 

正解.
問208:解なし
問209:1, 3

 解 説     

問208

解なしのため、解説なし。

問209

HMG-CoA とメバロン酸を比較してみると、カルボニル基(C=O)が、ヒドロキシル基(-OH)へと変わっています。これは還元です。

左側が S 配置、右側が R 配置なので、誤りです。立体配置をきちんと読み取らなくても、異なる部分に注目すると優先順位が下がっており、立体配置が HMG-CoA とメバロン酸では別であると判断すれば、「いずれも S 配置」ではないと考えることができると思われます。よって、選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 はその通りの記述です。
スタチン系薬物は、HMG-CoA 還元酵素と、競合的に拮抗します。

環状炭化水素は炭化水素なので、親水性ではなく、疎水性を示すと考えられます。よって、選択肢 4 は誤りです。 

以上より、正解は 1,3 です。

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