薬剤師国家試験 第97回 問210-211 過去問解説

 問 題     

53歳男性。進行期パーキンソン病の患者。以下の薬剤が処方されている。

問210

それぞれの薬剤に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. カルビドパは、レボドパの消化管吸収を高めるために配合されている。
  2. エンタカポンは、パーキンソン病の症状の日内変動(wearing-off現象)を改善する。
  3. ペルゴリドは、選択的セロトニン再取り込み阻害薬と併用禁忌である。
  4. アマンタジンは、抗A型インフルエンザ薬としても用いられる。
  5. セレギリンの服用中は、必ず定期的に心エコー検査を行う。

問211

レボドパとその関連化合物に関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。

  1. レボドパの名称は(S)-3-(3,4-dihydroxyphenyl)valineである。
  2. レボドパは副腎皮質でトリプトファンから合成される。
  3. レボドパが脱炭酸されると、ドパミンが生じる。
  4. ドパミンのベンジル位がヒドロキシ化されるとアドレナリンが生じる。
  5. ノルアドレナリン及びアドレナリンを含む一部の生体アミンをフェノールアミンとよぶ。

 

 

 

 

 

正解.
問210:2, 4
問211:3

 解 説     

問210

カルビドパは、脱炭酸酵素阻害剤です。抹消におけるレボドパの分解を阻害する目的で配合されています。よって、レボドパの消化管吸収を高めるためではないので選択肢 1 は誤りです。

エンタカポン(コムタン)は、COMT(Cathecol-O-methyl transferase)阻害薬のひとつです。COMT を阻害し、末梢におけるレボドパの分解を阻害することにより、レボドパの脳内以降を高めます。症状の日内変動の改善が適応です。

ペルゴリドは、ドパミン作動薬です。麦角系アルカロイドの一種です。抗パーキンソン薬で、SSRI との併用が禁忌であるものは、セレギリンです。よって、選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 はその通りの記述です。

セレギリンは、MAO-B(monoamine oxidase B)阻害薬です。抗パーキンソン薬で、定期的に心エコー検査をする薬は、カベルゴリンなどです。よって、選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 2,4 です。

問211

(S)-2-amino-3-(3,4-dihydroxyphenyl) propanoic acid なので、選択肢 1 は誤りです。正式な名称がわからなくても、バリンの構造と比較することで誤りであると判断できるのではないかと考えられます。

レボドパは、L-チロシンから合成されます。よって、トリプトファンから合成されるわけではないので選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 はその通りの記述です。

ドパミンのベンジル位がヒドロキシ化されると、ノルアドレナリンが生じます。よって、アドレナリンが生じるわけではないので、選択肢 4 は誤りです。

ノルアドレナリン及びアドレナリンのように、カテコール(オルト位に、ヒドロキシ基を持ったフェノール)とアミンを持った化合物はカテコールアミンと総称されます。よって、フェノールアミンではないので、選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 3 です。

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