薬剤師国家試験 第97回 問120 過去問解説

 問 題     

ウイルスに関する記述のうち、誤っているのはどれか。1つ選べ。

  1. インターフェロンは、ウイルス表面の受容体に結合して作用する。
  2. A型及びB型インフルエンザウイルスのノイラミニダーゼを阻害することにより、ウイルスの増殖が抑制される。
  3. 成人T細胞白血病(ATL)の原因ウイルスHTLV-1は、RNAウイルスである。
  4. ヒト免疫不全ウイルス(HIV)は、宿主T細胞表面のCD4とケモカイン受容体を介して感染する。
  5. B型肝炎ウイルスにより肝炎を発症した患者の血清には、感染性のウイルス粒子が検出される。

 

 

 

 

 

正解.1

 解 説     

インターフェロンは、ウイルス増殖を非特異的に抑制する、抗体ではない因子として確認され、細胞表面の特異的な受容体複合体に結合することが知られています。免疫機構の細胞が、インターフェロンとの結合により刺激されることでその信号が細胞内へと伝えられ、ウイルス防御に関するタンパク質が合成されます。よって、ウイルス表面ではないため、選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 は、その通りの記述です。
ノイラミニダーゼ阻害薬は、ザナミビル(商品名:リレンザ)やオセルタミビル(商品名:タミフル)として、抗インフルエンザ薬として用いられています。

選択肢 3 は、その通りの記述です。
他にも、ヒト免疫不全ウイルスなどもRNAウイルスです。ちなみに、DNAウイルスとして、B型肝炎ウイルスなどが知られています。

選択肢 4 は、その通りの記述です。
HIV の表面糖タンパク質 gap120 と相互作用する、T細胞表面のケモカイン受容体として CCR5 や、CXCR4 が知られています。

選択肢 5 は、その通りの記述です。
血液感染する代表的な感染症の原因微生物として、B型肝炎ウイルス(HBV:hepatitis B virus)、C型肝炎ウイルス(HCV:hepatitis C virus)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV:Human Immunodeficiency Virus)などが知られています。

以上より、正解は 1 です。

コメント