問 題
45 歳男性。会社の健康診断にて毎年尿酸値の高値を指摘されてきた。右の第一中足趾節関節(親指の付け根)に痛みがあったので、近くの整形外科クリニックを受診したところ、痛風と診断された。
処方 1、 2 の薬剤を服用していたが、最近、仕事のストレスから普段の飲酒(ビール)が増え、 3 日前から同じ部位の腫脹と激しい疼痛が現れた。今朝受診し、処方 3、 4 の薬剤が追加され、薬局を訪れた。
(処方 1)
| フェブキソスタット錠 20 mg | 1 回 1 錠( 1 日 1 錠) |
| 1 日 1 回 朝食後 28 日分 |
| クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム配合散 | 1 回 1 g( 1 日 3 g) |
| 1 日 3 回 朝昼夕食後 28 日分 |
| ナプロキセン錠 100 mg | 昼 4 錠、夕 2 錠( 1 日 6 錠) |
| 1 日 2 回 昼夕食後 1 日分(初日) |
| ナプロキセン錠 100 mg | 1 回 2 錠( 1 日 4 錠) |
| 1 日 2 回 朝夕食後 6 日分( 2 日目以降) |
(検査値)
血圧 125/80 mmHg、血清クレアチニン 0.8 mg/dL、尿酸 7.2 mg/dL、CRP 5.6 mg/dL、尿 pH 5.5
問196
高尿酸血症の患者では、血液中に尿酸ナトリウムが健常者より高濃度で存在している。図に示すように尿酸ナトリウムは弱酸・強塩基の塩であり、尿酸の pKa は 5.75(25 ℃)である。
いま、400 μmol/L の尿酸ナトリウム水溶液があったとすると、この水溶液の pH に最も近い値はどれか。 1 つ選べ。
ただし、尿酸ナトリウムは水溶液中で次のように反応するものとし、水のイオン積 Kw = [H+][OH−] = 1.0 × 10−14 (mol/L)2(25 ℃)、log 2 = 0.30 とする。
また、温度は 25 ℃ で、尿酸ナトリウムは水溶液中で完全に溶解しており、沈殿は生じていないものとする。

- 6.8
- 7.6
- 8.2
- 8.8
- 9.4
問197
この患者に指導する内容として適切なのはどれか。 2 つ選べ。
- 水分は、多めに摂取してください。
- 毎日ビールを飲み続けていて構いません。
- 処方 2 の薬剤は、飲みにくければ水に溶かしてから服用しても構いません。
- 処方 2 の薬剤は、尿をより酸性にする作用があります。
- 処方 3 及び 4 の薬剤は、吸収をよくするために食後に服用してください。
問196:3
問197:1, 3
解 説
問196
pKa が出てきて、ヘンダーソン・ハッセルバルヒ式をまず連想したのではないかと思うのですが、本問は単なる 弱酸の塩 が溶けた水溶液です。弱酸+弱酸塩のような緩衝液ではないため、ヘンダーソン・ハッセルバルヒ式は使いません。
【弱酸、弱塩基の pH】
・弱酸 HA の電離による pH
・弱塩基 B の電離による pH
・弱酸と強塩基から生じた塩のpH
・強酸と弱塩基から生じた塩の pH
の 4 パターンについては、公式を覚えて対応がおすすめです。
・弱酸 HA の電離による pH
→[H+]=√(Ka・C)
・弱塩基 B の電離による pH
→[OHー]=√(Kb・C)なので
[H+]=Kw/√(Kb・C)
・弱酸と強塩基から生じた塩の pH
→ 弱塩基による電離と同じ。
・強酸と弱塩基から生じた塩の pH
→ 弱酸による電離と同じ。
問題文より、尿酸ナトリウムは弱酸・強塩基の塩なので覚えていた公式より 弱塩基による電離と同じ →[H+]=Kw/√(Kb・C)・・・(1)
pKa = 5.75 より、pKb = pKw - pKa = 14 - 5.75 = 8.25 です。
∴ Kb = 10-8.25 です。
また、問題文より
Kw = 1.0 × 10-14 、C = 400 μmol/L = 4 × 10-4 mol/L
公式 (1) に値を代入
[H+] = (1.0 × 10-14)/√(4 × 10-12.25)
=(1.0 × 10-14)/(2 × 10-6.125) ※ 分母の √ を 外しました
=(1.0/2) × 10-7.875 です。
両辺 -log10 とれば
pH = -log10(1/2) + 7.875
= log102 + 7.875 ※-log10(1/2) = log102 参考ページも参照
= 0.30 + 7.875
= 8.175 ≒ 8.2
以上より、問 196 の正解は 3 です。
参考 指数関数、対数関数
https://yaku-tik.com/yakugaku/kisu-2-1/
問197
選択肢 1 は妥当です。
尿酸排泄を促し結晶化を防ぐため、十分な水分摂取を指導します。
選択肢 2 ですが
アルコールは尿酸値を上昇させます。節酒・禁酒を指導します。「毎日ビールを飲み続けていて構いません」は不適切です。選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 は妥当です。
処方 2 の薬剤:クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム配合散は、飲みにくければ水に溶かしてから服用しても構いません。
選択肢 4 ですが
処方 2 の薬剤:クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム配合散は、尿をアルカリ化して尿酸結石を予防する作用があります。「尿をより酸性にする作用」ではありません。選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 ですが
処方 3,4 の薬剤:ナプロキセンは NSAIDs です。「胃障害を軽減するため」に「食後」服用を指導します。「吸収をよくするために」ではありません。選択肢 5 は誤りです。
以上より、問 197 の正解は 1,3 です。

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