薬剤師国家試験 第108回 問314-315 過去問解説

 問 題     

64 歳男性。数年前からパーキンソン病と不眠症の治療を行っている。転居に伴い、家族に伴われて以下の処方箋を持ってこの薬局を初めて訪れた。

問314

この患者への服薬指導として、適切なのはどれか。2 つ選べ。

  1. 服用を続けているうちに急に動けなくなるなど、薬の効果が短く感じることがあれば申し出てください。
  2. 処方 1 の薬は、飲み忘れに気が付いた場合、次回服用時に 2 回分を 1 度に服用してください。
  3. 処方 1 の薬は、服用することにより尿の色が濃くなることがあります。
  4. 処方 2 の薬を服用して、眠気が出た場合はすぐに服用を中止してください。
  5. 処方 3 の薬を服用して、苦みを感じた場合はすぐに服用を中止してください。

問315

この患者が、1 週間程度の海外旅行に行くことになった。現在処方されている医薬品を海外に持って行くことについて相談を受けた。

海外に持って行くにあたり、地方厚生局長に携帯輸出許可の申請を行わなければならないのはどれか。1 つ選べ。なお、地方厚生局長は厚生労働大臣から権限が委任されているものとする。

  1. 処方 1 から処方 3 のすべての医薬品
  2. 処方 1 の医薬品
  3. 処方 2 の医薬品
  4. 処方 3 の医薬品
  5. 処方 1 から処方 3 のすべての医薬品について申請不要

 

 

 

 

 

正解.
問314:1, 3
問315:3

 解 説     

問314

選択肢 1 は妥当です。
いわゆる on-off 現象や、wearing-off 現象に注意が必要です。(参考 病態・薬物治療学まとめ パーキンソン病の病態生理、治療薬、注意点

選択肢 2 ですが
飲み忘れた場合は、気がついた時点で 1 回分を飲むように指導します。 ただし、次の飲む時間が近い場合は、忘れた分を飲まないで、次の飲む時間に 1 回分を飲んでもらいます。「2回分を1度に服用」してはいけません。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 は妥当です。

選択肢 4 ですが
メカニズムが MAO-B 阻害なので、眠気は関連がないと考えられます。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
エスゾピクロン(ルネスタ)は、成分自体の苦味があります。服用時に加え、服用翌日にも、唾液中への分泌等により苦味を感じることがあるとされる薬です。苦味が我慢できない場合について、対処法を考えるために薬剤師に相談するように指導します。服用中止ではありません。選択肢 5 は誤りです。

以上より、問 314 の正解は 1,3 です。

問315

セレギリンが覚せい剤原料なので、処方2について必要です。その他の処方については不要です。

以上より、問 315 の正解は 3 です。

参考 法規・制度・倫理まとめ 覚せい剤取締法

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