薬剤師国家試験 第108回 問132 過去問解説

 問 題     

化学物質の毒性に関する記述のうち、正しいのはどれか。2 つ選べ。

  1. 硫化水素は、ミトコンドリアのシトクロムオキシダーゼの阻害により、細胞呼吸を抑制する。
  2. DEHP [フタル酸ビス (2 – エチルヘキシル)] は、ヘム合成に関わる酵素を阻害することで、造血機能障害を生じる。
  3. 四塩化炭素は、シトクロム P450 によって還元的に脱ハロゲン化されて、肝障害を引き起こす。
  4. 塩化ビニルモノマーは、アセチルコリンエステラーゼの阻害により、神経毒性を示す。
  5. カルバリルは、アコニターゼの阻害により、呼吸器障害を生じる。

 

 

 

 

 

正解.1, 3

 解 説     

選択肢 1 は妥当です。
硫化水素(H2S)についての記述です。

選択肢 2 ですが
DEHP は、ポリ塩化ビニル樹脂に柔軟性を与えるために加えられる可塑剤の一種です。酵素阻害で造血機能障害を生じる化合物ではありません。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 は妥当です。
四塩化炭素についての記述です。

選択肢 4 ですが
塩化ビニルモノマーが引き起こすのは肝血管肉腫です。(106-131 化学物質の主な有害作用)。

選択肢 5 ですが
カルバリルは、カルバメート系殺虫剤の一種です。コリンエステラーゼ阻害剤です。(参考 100-132 化学物質とその毒性)。アコニターゼの阻害ではありません。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 1,3 です。

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