薬剤師国家試験 第107回 問129 過去問解説

 問 題     

食品成分の変化に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. メイラード反応とは、還元糖とアミノ酸が酵素的に反応し、シッフ塩基及びα-カルボニル化合物を形成する反応である。
  2. チラミンは、アミノ酸脱炭酸酵素によりチロシンから生成され血圧上昇作用を示す。
  3. 魚の腐敗臭の原因となるトリメチルアミンは、トリメチルアミンN-オキシドが酸化されることにより生じる。
  4. トリプトファンは、脱アミノ反応及び脱炭酸反応によって腐敗臭を有する硫化水素を生じる。
  5. 糖質が微生物により分解されて、アルコールや有機酸などの有用な化合物が生成することを発酵という。

 

 

 

 

 

正解.2, 5

 解 説     

選択肢 1 ですが
食品の褐変を引き起こす反応のうち、酵素的ではない反応の代表例がメイラード反応です。従って「酵素的に反応」ではありません。選択肢 1 は誤りです。(参考 衛生薬学まとめ 食品の褐変)。

選択肢 2 は妥当です。
チラミンは チロシンが脱炭酸されたものです。チーズに多く含まれることや、薬理学における 間接的アドレナリン作動薬としても知られています。

選択肢 3 ですが
海水魚の魚臭さには、トリメチルアミン、ジメチルアミンが関与します。これらは、魚体中のトリメチルアミンオキシドに、細菌類の還元酵素が作用して生成されます。「トリメチル・・・が酸化され、、、」ではありません。(105-123 選択肢 1 )。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
代表的な腐敗反応が、トリプトファン → スカトールです。(参考 衛生薬学まとめ 食品の腐敗)。硫化水素ではありません。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 は妥当です。
腐敗と発酵の違いは、ヒトにとって有用な化合物が生成するかどうか、という恣意的なものです。

以上より、正解は 2,5 です。

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