106回薬剤師国家試験 問318-319解説

 問 題     

75歳男性。1年前から、高血圧症、脂質異常症、高尿酸血症と不眠症のため、近医を受診し、前回同様の以下の薬剤が処方された。患者のお薬手帳には、3日前に初めて受診した別の泌尿器科から処方された薬が記載されていた。

薬剤師が患者の家族に確認をしたところ、一昨日から、特に午前中にぼんやりしていることが多く、最近は物忘れが目立つため、認知症を発症したのではないかと心配していた。

問318

この患者に薬剤師が行った対応として、適切でないのはどれか。1つ選べ。

  1. 睡眠薬の副作用の可能性もあるため、今回の処方について医師に確認を行った。
  2. 服用している薬剤が多くなってきたため、医療機関ごとにお薬手帳を分けるように患者に指示した。
  3. 睡眠薬などを自己調整して服薬していないか患者に確認した。
  4. かかりつけ薬剤師の制度を説明し、かかりつけ薬剤師のいる薬局で全て調剤してもらうように勧めた。
  5. 認知症の可能性も否定できないため、専門医へ行くように勧めた。

問319

この患者に対し、調剤を行うにあたり薬剤師が行った対応のうち、薬剤師法に基づいて処方箋に記入しなければならないとされているのはどれか。1つ選べ。

  1. 疑義照会に対する処方医の回答内容
  2. お薬手帳に関する指導の内容
  3. 患者の家族から聞き取りをした内容
  4. かかりつけ薬剤師に関する説明内容
  5. 患者に行った受診勧奨の内容

 

 

 

 

 

正解.
問318:2
問319:1

 解 説     

問318

問319とまとめて解説します。

問319

エスゾピクロン(ルネスタ)の副作用として、もうろう状態が知られています。また、エスゾピクロンは抗コリン作用を有します。(104-296297)。最近の物忘れが目立つ点から認知症が疑われている点からも、不眠症の薬としてブロチゾラムを服用していることを情報提供した上で、エスゾピクロン処方について疑義照会スべき事例と考えられます。複数医療機関に通う場合の薬剤管理のため、1つのお薬手帳に情報集約することが望ましいと考えられます。

医療機関ごとにお薬手帳を分けてしまっては、薬剤管理が難しくなってしまいます。また、疑義照会時にどのような回答があったかは、処方箋記入事項です。

以上より、問 318 の正解は 2 です。
問 319 の正解は 1 です。

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