106回薬剤師国家試験 問180解説

 問 題     

乳剤及び懸濁剤に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. バンクロフト(Bancroft)の経験則によると、親油性の乳化剤を添加するとw/o型乳剤が形成されやすい。
  2. 一般に、分散相が凝集した乳剤は、振り混ぜると容易に再分散される。
  3. 懸濁剤において、粒子が凝集沈降を起こし、再分散が困難な強固な凝集体を形成することをケーキングという。
  4. 一般に、乳剤の外相に内相を加えて両相の容積が等しくなったとき、外相と内相が逆転する転相を起こす。
  5. 乳剤のクリーミングは、内相が浮上又は沈降する現象であり、可逆的である。

 

 

 

 

 

正解.1, 5

 解 説     

選択肢 1 は妥当です。
乳化剤が溶解する相が連続相になりやすい、というのがバンクロフトの経験則です。連続相とは、分散媒のことです。A/B と表現する際の /B に該当します。

選択肢 2 ですが
振とうすれば再分散するのは、クリーミング(単に層状に分離した状態のこと)です。乳剤において、分散相が凝集した場合、「容易に再分散」はしないと考えられます。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
懸濁剤におけるケーキングは、自由沈降の結果、層状の沈積層が生じる現象です。凝集沈降の結果生じる凝集体ではありません。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
転相が生じるのは、容積が等しくなったとき、というわけではありません。また、温度によっても転相が生じる条件が変化します。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 は妥当です。
乳剤のクリーミングについての記述です。

以上より、正解は 1,5 です。

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