薬剤師国家試験 第105回 問179 過去問解説

 問 題     

ある非電解質性薬物の安定形結晶と準安定形結晶を、固相が常に存在する状態でそれぞれ一定温度の水に溶解したところ、図に示す薬物濃度-時間曲線Ⅰ及びⅡが得られた。この薬物の溶解挙動に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. 曲線Ⅰは、安定形結晶の溶解曲線を示している。
  2. 曲線Ⅱのアの付近では、固相の大部分が安定形結晶として存在する。
  3. 曲線Ⅱのイの付近では、薬物が過飽和状態で溶解している。
  4. 曲線Ⅱのイの付近では、固相の大部分が準安定形結晶として存在する。
  5. 安定形結晶の溶解度は、約6mg/mLである。

 

 

 

 

 

正解.1, 5

 解 説     

すぐにいっぱい溶けている曲線Ⅱが準安定と読み取れます。

ある薬物の溶解度 というのは一定の値です。ただ、準安定形結晶は不安定なため、いったん溶け、溶解度以上溶けた後に、少しずつ安定形結晶として析出します。そして、ある程度の時間経過した時に、薬物濃度は溶解度であり、固相はほぼ安定形という状態になると考えられます。以上をふまえ、各選択肢を検討します。

選択肢 1 は妥当な記述です。

選択肢 2 ですが
もし固相の大部分がこの時点で安定形結晶とすれば、過剰に溶解していた準安定形結晶分は固体としてほぼ析出し終わっているということです。すると薬物濃度は 6mg/mL 付近でなければいけません。よって、選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
十分時間が経っており、薬物は飽和状態と考えられます。過飽和ではありません。よって、選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
固相の大部分が安定形と考えられます。よって、選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 は妥当な記述です。

以上より、正解は 1,5 です。

参考)製剤学まとめ 製剤材料としての分子集合体

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