105回薬剤師国家試験 問161解説

 問 題     

1型糖尿病の治療に用いられる下図の構造の薬物に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. 高血糖時にのみ作用を示すので、低血糖を起こしにくい。
  2. チロシンキナーゼ内蔵型受容体に作用し、ホスファチジルイノシトール3-キナーゼを阻害する。
  3. マルチヘキサマーを形成し、作用が持続する。
  4. 膵β細胞からのインスリン分泌を促進する。
  5. 骨格筋細胞において、グルコーストランスポーター4(GLUT4)を含む小胞の細胞膜への移行を促進する。

 

 

 

 

 

正解.3, 5

 解 説     

インスリンデグルデク(トレシーバ)の構造です。持続型溶解インスリン製剤です。「デグル」が「30 残基目を除いて、グルタミン酸がスペーサー」というのが由来です。「デク」が「付加したヘキサデカン二酸」由来です。

六量体(ヘキサマー)が複数会合したマルチヘキサマーを形成し、徐々に個々の6量体が遊離することにより、持続的作用を実現しています。

インスリンレセプターに結合したインスリンは、骨格筋及び脂肪細胞における「糖の取り込みを促進」し、また肝臓におけるグルコース産生を阻害することによって血糖値を降下させます。さらに、脂肪細胞における脂肪分解及び蛋白質分解を阻害し、蛋白質合成を促進する働きも有します。

以上より、正解は 3,5 です。

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