薬剤師国家試験 第103回 問1 過去問解説

 問 題     

系の乱雑さを定量的に表す熱力学量はどれか。1つ選べ。

  1. 内部エネルギー
  2. エンタルピー
  3. エントロピー
  4. ギブズエネルギー
  5. 化学ポテンシャル

 

 

 

 

 

正解.3

 解 説     

選択肢 1 ですが
内部エネルギーとは、物体を構成する分子の持つエネルギーのことです。内部エネルギーは、U で表されることが多いです。そして、内部エネルギーに関連する重要な法則としては熱力学第一法則があります。すなわち、ΔU=ΔQ+ΔW です。※Δは「差」を意味します。Qは熱、Wは仕事です。

選択肢 2 ですが
エンタルピーとは「定圧状態で系に出入りする熱」 と考えればよいです。エンタルピーは、Hで表されることが多いです。エンタルピーに関しては H=U+PV が重要な法則です。

選択肢 3 は、正しい記述です。
エントロピーは、Sで表されることが多いです。重要な関係式はΔS=q/T です。※ q は系に流入する熱です。T は絶対温度です。

選択肢 4,5 ですが
まず、ギブズエネルギーとは自由エネルギーの一種です。ある状態に対して自由エネルギーが決まります。2つの状態がある時に自由エネルギーが低い方へ状態が進行します。自由エネルギーは、より詳しく言うと温度、圧力、物質の組成に依存して決まります。

この中で、物質の組成に依存する部分を化学ポテンシャルといいます。温度、圧力が同じであれば化学ポテンシャルが低い方へと状態は変化していきます。

以上より、正解は 3 です。
類題 101-3
参考 物理化学まとめ 熱力学第一法則エンタルピーエントロピー

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