薬剤師国家試験 第102回 問139 過去問解説

 問 題     

光化学オキシダント及びその測定法に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. 光化学オキシダントの大部分はオゾンであるが、一部にペルオキシアセチルナイトレート(PAN)も含まれる。
  2. 光化学オキシダントの環境基準達成率は、一般環境大気測定局及び自動車排出ガス測定局いずれにおいても低い水準となっている。
  3. 光化学オキシダントは、微量の硫酸を含む過酸化水素水を吸収液として用いる溶液導電率法により測定される。
  4. 光化学オキシダントの発生には、空気中の硫黄酸化物が関与している。
  5. 光化学オキシダントの発生量は、オゾン層の破壊により減少している。

 

 

 

 

 

正解.1, 2

 解 説     

光化学オキシダントとは、二次汚染物質の一種です。すなわち化石燃料の使用等により発生した汚染物質(一次汚染物質)が大気中に拡散し、化学反応を起こして生成する物質です。オゾンやパーオキシアシルナイトレートなどの総称です。光化学オキシダント濃度が高い状態を光化学スモッグと呼びます。

選択肢 1,2 は、正しい記述です。
選択肢 2 は、光化学スモッグの注意報がしばしば出ることから、環境基準達成がそれほど高くないと考えると判断できるのではないでしょうか。

選択肢 3 ですが
光化学スモッグの測定法は、中性ヨウ化カリウム法です。溶液導電率法は、硫黄酸化物の測定法です。よって、選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
光化学オキシダントは、化石燃料の使用等に伴う不飽和炭化水素や揮発性有機化合物(VOC)の存在下において、窒素酸化物から二次的に生じるものです。空気中の硫黄酸化物の関与 という記述は適切ではないと考えられます。

選択肢 5 ですが
光化学オキシダントの発生は、紫外線が関与します。オゾン層の破壊で地表に降り注ぐ紫外線は増加するので発生量は増加すると考えられます。よって、選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 1,2 です。
類題 100-139

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