薬剤師国家試験 第102回 問59 過去問解説

 問 題     

インスリン分泌を促進し、食後高血糖を改善する薬物はどれか。1つ選べ。

  1. メトホルミン塩酸塩
  2. ピオグリタゾン塩酸塩
  3. ナテグリニド
  4. ボグリボース
  5. イプラグリフロジン L – プロリン

 

 

 

 

 

正解.3

 解 説     

選択肢 1 ですが
メトホルミンは、ビグアニド系薬です。インスリン分泌作用がないことが特徴です。肝臓での糖新生の抑制や糖利用促進などを介して血糖を低下させます。

選択肢 2 ですが
ピオグリタゾンは、インスリン抵抗性改善薬です。PPARγ(Peroxisome Proliferator-Activated Receptor γ)という核内受容体に作用することで、TNF-α(Tumor Necrosis Factor-α)産生抑制及び、アディポネクチン(超善玉ホルモンと呼ばれる、ホルモンの一種です。血中濃度が一般的なホルモンに比べ桁違いに多いという特徴があります。)産生促進をひきおこします。その結果として、インスリン抵抗性の改善が行われます。

選択肢 3 は、正しい選択肢です。
ナテグリニドは、SU剤です。インスリン分泌を促進します。

選択肢 4 ですが
ボグリボースは、α-グルコシダーゼ阻害薬です。α-GI(α-glucosidase inhibitor)と略されます。α-GIは、小腸においてα-グルコシダーゼなどの二糖類分解酵素を阻害します。これにより、単糖類の生成を抑制し腸管からの糖の吸収を低下させることで食後過血糖を改善します。このメカニズムをいかすために、用法は食直前となります。(食直前=食事5~10分前ぐらいのこと。)

選択肢 5 は
スーグラのことです。SGLT2阻害薬です。グルコーストランスポーターを阻害することにより尿中へのグルコース排出を促進させることにより血糖降下作用を示します。

以上より、正解は 3 です。
類題 98-252253
参考 薬理学まとめ 糖尿病治療薬

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