薬剤師国家試験 第101回 問187 過去問解説

 問 題     

58歳男性。21歳のとき、統合失調症を発症。その後、精神科への入退院を繰り返し、昨日、本院に入院。検査の結果、耐糖能異常が診断された。

薬歴として以下の処方が記載されていた。

この患者の処方に対して薬剤師が、医師に処方変更を提案するとき、削除を提案すべき薬剤はどれか。1つ選べ。

  1. ハロペリドール錠
  2. オランザピン錠
  3. フルニトラゼパム錠
  4. 酸化マグネシウム錠
  5. フルバスタチン錠

 

 

 

 

 

正解.2

 解 説     

薬に関して以下簡単に列挙します。ハロペリドールは、D2 遮断薬。オランザピンは、MARTA。色んな受容体に作用。フルニトラゼパムは、Bz系 不眠症に用いる。フルバスタチンは、スタチン。コレステロールを下げる。

検査の結果、耐糖能異常、つまり糖尿病の一歩手前になっています。血糖値の上昇が知られているのがオランザピンです。血糖値上昇による糖尿病性ケトアシドーシス及び昏睡 について緊急安全性情報が出たことがあります。投与を続けると致死的な転帰もありえるのでオランザピンの削除を提案すべきです。

以上より、正解は 2 です。

以下、雑感。国試では、必要なし。
ちなみに、この状況で削除提案だけでいいのか?→現実的には、代替薬まで考える必要があると思われます。少し調べてみると

2015 年 3 月「Effects of switching from olanzapine to aripiprazole on the metabolic profiles of patients with schizophrenia and metabolic syndrome: a double-blind, randomized, open-label study」という文献があり、アリピプラゾールは選択肢の 1 つ と感じました。

本問のような問題は、とても勉強になると共に、国試の範囲はあくまでもスタート地点であり患者さんのためにできることを探して考えるべきことは、いくらでもあるしそのために学び続ける必要性を感じます。一方で、自らの知識だけでなく処方医の使い慣れた薬であるかどうかなども、使用する薬物選択には重要な要素です。

日頃から知識を正確に更新すると共に、関与する方々と適切にコミュニケーションが取れていないと最適な薬物療法に貢献するのは難しいなぁと感じました。以上、雑感 終わり。

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