101回薬剤師国家試験 問188解説

 問 題     

臓器移植の拒絶反応に用いる薬物に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. グスペリムスは、抗CD25モノクローナル抗体であり、急性拒絶反応の治療に用いられる。
  2. タクロリムスは、カルシニューリンを阻害して、T細胞におけるインターロイキン-2の産生を抑制する。
  3. ミコフェノール酸モフェチルは、急性拒絶反応治療の第一選択薬である。
  4. 抗ヒト胸腺細胞ウサギ免疫グロブリンは、急性拒絶反応の治療に用いられる。
  5. シクロスポリンは、ほ乳類ラパマイシン標的タンパク質(mTOR)阻害作用に基づく免疫抑制により、腎移植に用いられる。

 

 

 

 

 

正解.2, 4

 解 説     

選択肢 1 ですが
グスペリムス(スパニジン)は、腎移植後の拒絶反応に用いられる薬です。低分子薬です。キラー T 細胞や B 細胞の成熟や 増殖抑制 により免疫抑制作用を示します。CD25 に対するモノクローナル抗体はバシリキシマブ(シムレクト) などです。ちなみに、CD 25 は、IL-2 受容体のα鎖 のことです。語尾が「マブ」じゃない点からモノクローナル抗体ではないと推測してもよいと思います。選択肢 1 は、誤りです。

選択肢 2 は、正しい選択肢です。
シクロスポリン、タクロリムスはカルシニューリン阻害薬です。

選択肢 3 ですが
急性拒絶反応は、まずはステロイド剤の大量投与(パルス療法)を行います。ステロイド抵抗性の場合に、その他の免疫抑制剤を用います。ミコフェノール酸モフェチル(セルセプト)は代謝拮抗薬です。各種移植の拒絶反応抑制に用いられますが急性拒絶反応の第一選択薬では、ありません。よって、選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 は、正しい選択肢です。
商品名はサイモグロブリンです。再生不良性貧血や各種臓器移植の急性拒絶反応に対して用いられます。

選択肢 5 ですが
シクロスポリンは、カルシニューリン阻害薬です。mTOR 阻害薬では、ありません。mTOR 阻害薬としてはエベロリムス(アフィニトール)などがあります。よって、選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 2,4 です。

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