公務員試験 H29年 国家一般職(行政) No.4解説

 問 題     

各国等の選挙制度に関する次の記述のうち,妥当なのはどれか。

1.英国議会の下院議員選挙は,イングランドでは小選挙区制が採用されているが,スコットランドとウェールズでは小選挙区制と比例代表制を組み合わせた制度,北アイルランドでは中選挙区制が用いられているため,それぞれの地域によって小政党の議席獲得率には明確な差が見られる。

2.欧州議会議員の選出方法は,欧州連合(EU)加盟各国がそれぞれ自由に決定してよいとされているため,国民による直接選挙を行う国と議員による間接選挙を行う国に分かれる。フランスでは,上院議員の投票による間接選挙が採用されている。

3.米国の大統領選挙は,各州の有権者が一般投票において選挙人を選挙し,選ばれた選挙人が大統領を選挙するという間接選挙の形態を採っており,選挙人はそれぞれの州で各大統領候補の得票数に比例して選出される。選ばれた選挙人は,一般投票の時点で投票することを誓約している大統領候補に投票しなければならないと合衆国憲法で定められている。

4.我が国の衆議院議員選挙では,小選挙区比例代表並立制が採用されているが,いわゆる一票の較差の是正のため,小選挙区の都道府県別議席配分と比例代表のブロック別議席配分を,国勢調査の結果に基づいて,「アダムズ方式」によって計算し直すことが決定されている。

5.オーストラリアの連邦議会では,下院議員選挙における投票が法律上義務付けられているが,棄権した場合の罰則規定がなく,投票への努力義務規定にとどまっている。そのため,投票率は経済協力開発機構(OECD)加盟国の中でも低く,投票の義務化が必ずしも投票率の向上につながっているとは言えない。

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説     

選択肢 1 ですが
英国議会は貴族院と庶民院からなります。「下院」ではありません。(H28no2)。下院に相当するのは庶民院で、単純小選挙区制です。「構成要素ごとに、議席獲得率に明確な差がある」という部分は妥当です。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
欧州議会議員は直接選挙で選ばれます。ただし、その制度は国によります。「間接選挙」は行われません。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
米国の大統領選挙についての記述です。選挙人はほとんどの州で「勝者総取り」です。ただ、比例する形の州もあります。また、誓約に反した投票が行われることもあり、投票義務が憲法で定められているわけではありません。州法で誓約通りの投票が義務として定められていることはあります。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 は妥当です。
2020 年国勢調査をふまえ、2022 年からアダムズ方式が導入される予定です。具体的には、都道府県ごとに人口をある数で割り、それぞれの商の小数点以下を切り上げて各地の定数とします。

選択肢 5 ですが
オーストラリアは投票が義務付けられていて、棄権に対して罰則規定もあります。投票率は 90% 近くに達し、非常に高いです。義務の一方で、バーベキューが振る舞われるなど、お祭りのような選挙となるそうです。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 4 です。

コメント