公務員試験 H29年 国家一般職(行政) No.5解説

 問 題     

戦後の日本政治に関する次の記述のうち,妥当なのはどれか。

1.池田勇人内閣が打ち出した所得倍増計画は,日本経済の高度成長をもたらしたが,この高度成長は第一次石油危機によって終焉を迎え,経済は停滞期に入った。こうした状況を受けて登場したのが,日本列島改造論を掲げた田中角栄内閣である。

2.田中角栄内閣は社会保障制度の大幅な拡充を行ったが,それはその後の我が国の財政に大きな負担を与え続けることとなった。こうした状況の中で,大平正芳内閣は財政再建のために間接税の一種である「売上税」の導入を目指して法案を国会に提出したが,審議が進まず廃案となった。

3.大平正芳内閣における間接税導入の挫折は,その後の自由民主党政権に「増税なき財政再建」を課題として突き付けた。この課題に対して,中曽根康弘内閣は,経済的自由主義を背景として行財政改革を推進し,民間活力の導入等の政策によって対応する姿勢を打ち出した。

4.中曽根康弘内閣の経済的自由主義に基づいた政策は,その後,いわゆるバブル経済を引き起こすこととなった。このバブル経済の崩壊と景気の急激な停滞に直面した竹下登内閣は,景気対策の財源確保のため間接税の導入を試み,「消費税」の導入を実現した。

5.竹下登内閣がリクルート事件をきっかけに退陣したことを受け,我が国においては政治改革が喫緊の課題となった。こうした状況の中で,非自民の連立内閣である羽田孜内閣の下で選挙制度改革を含む政治改革関連4 法案が成立した。

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説     

選択肢 1 ですが
第一次石油危機は 1973-74 年です。田中角栄内閣時代の出来事です。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
売上税導入を目指して法案を提出したのは、中曽根内閣です。大平内閣「一般消費税」を導入しようとしました。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 は妥当です。
「増税なき財政再建」についての記述です。

選択肢 4 ですが
バブル経済と言われた 1986 ~ 1991 年の中、1989 年に、竹下内閣の下で消費税が 3% で導入されました。「バブル経済の崩壊・・・直面・・・財源確保のため間接税の導入を試み」という流れではありません。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
小選挙区比例代表並立制導入のため、政治改革関連法案を提出したのは、細川連立政権です。羽田孜内閣の下ではありません。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 3 です。
類題 H27no5

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