公務員試験 H27年 国家一般職(行政) No.5解説

 問 題     

戦後の我が国の政権に関する次の記述のうち、妥当なのはどれか。

1. 池田勇人内閣は、「寛容と忍耐」をスローガンに、所得倍増計画を提示して国民生活水準の顕著な向上と完全雇用の達成のために経済の安定的成長の極大化を目指した。また、外交面では、国際通貨基金 (IMF) 8条国へ移行して通商・金融面での自由化を果たすとともに、経済協力開発機構 (OECD) への加盟を実現した。

2. 佐藤栄作内閣は、対米協調路線を基本とし、対米貿易黒字が恒常化するなど深刻となっていた日米経済摩擦問題を解決するため、繊維輸出の自主規制を実施した。また、沖縄返還を目指したが、昭和 45 (1970) 年の日米安全保障条約改定に対する国民的規模の反対運動を受け、返還交渉の合意に至ることなく同年、退陣した。

3. 田中角栄内閣は、過密過疎を解消し、全国土に効果を及ぼすネットワークを形成するために鉄道、高速道路、情報通信網、港湾などの整備を図ることを主な内容とする「新全国総合開発計画 (新全総) 」を閣議決定した。また、昭和 47 (1972) 年には田中首相が日中国交正常化を図るため中華人民共和国を訪問し、同年、日中平和友好条約が締結された。

4. 福田赳夫内閣は、高まる政治不信に対して選挙制度改革で対応すべく小選挙区比例代表並立制を導入するための政治改革関連法案を提案した。また、不況脱出のための国際協力の重要性を主張し、日米独3国が高い成長率を達成することで積極的な役割を果たすという「機関車理論」を受け入れ、年7% 成長の達成を国際公約とした。

5. 大平正芳内閣は、高度経済成長を背景に衆議院、参議院同日選挙で自由民主党が圧勝した後誕生し、法案、予算などについて安定した国会運営を行った。また、外交面では、政府開発援助 (ODA) 倍増政策を打ち出すとともに地域の相互依存の深まりを重視して、アジア諸国に加え、米国、オセアニア諸国も含めた環太平洋連帯構想を提唱した。

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説     

選択肢 1 は妥当です。
池田勇人内閣についての記述です。

選択肢 2 ですが
佐藤栄作内閣は、7年半の長期政権間、小笠原諸島、沖縄返還を実現しました。また、日韓基本条約の調印、非核三原則提唱などが重要事項です。「返還交渉の合意に至ることなく、退陣」ではありません。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
新全総の閣議決定は1969 年、佐藤内閣の下です。また、田中角栄内閣において日中共同声明を行い、日中の国交正常化に成功しました。その後、日中平和友好条約を結ぶのは 1978 年福田内閣です。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
小選挙区比例代表並立制導入のため、政治改革関連法案を提出したのは、細川連立政権です。福田赳夫(ふくだたけお)内閣ではありません。機関車理論についての記述は妥当です。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
大平内閣は環太平洋連帯構想を提唱するなどしましたが、ハプニング解散を経て、1980 年総選挙中に首相が急死により突発的に瓦解した内閣です。「安定した国家運営を行った」わけではありません。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 1 です。

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