公務員試験 H27年 国家一般職(行政) No.4解説

 問 題     

我が国の選挙に関する次の記述のうち、妥当なのはどれか。

1. 現在の衆議院議員選挙では重複立候補が認められているため、小選挙区選挙で落選した候補者が比例代表選挙で復活当選することも可能となっている。ただし、同一の小選挙区で自分よりも上位であった候補者が当選できなかった場合には復活当選はできず、逆転現象が生じないようにされている。

2. 衆議院議員選挙の小選挙区におけるいわゆる一票の格差の問題に関連して、最高裁判所は平成 23 (2011) 年3月の判決で、各都道府県にあらかじめ一議席ずつを割り振る「一人別枠方式」の廃止を求めた。しかし、平成 26 (2014) 年末現在、法律上この方式を定めた条文の削除は行われてい
ない。

3. 現在の参議院議員選挙の比例区では、非拘束名簿方式が採用されており、有権者は政党名でも候補者名でも投票を行うことができるが、各政党の得票数に比例して議席数を配分するため、候補者名での得票が全候補者中最も多かった候補者が結果として落選することもあり得る。

4. 戦後、日本国憲法の下で行われた衆議院議員総選挙は、現行の小選挙区比例代表並立制の導入前は、全て定数3~5を原則とする中選挙区制によって行われていた。一般に、中選挙区制は、小選挙区制に比べ、大政党に有利であるとされている。

5. 参議院議員選挙は昭和 55 (1980) 年までは全国区と地方区という区分によって行われていた。このうち全国区は全国を一つの選挙区として 50 名を選出する大選挙区制によって、また地方区は全国を 11 の地方に分け、それぞれの地方から5~9名を選出する選挙区制によって行われていた。

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説     

選択肢 1 ですが
前半部分は妥当です。衆議院小選挙区比例代表並立制において、重複立候補が認められており、復活当選可能です。後半部分ですが「供託金没収点未満の復活当選は認められない」のですが、「自分より上位であった候補者が落選時に復活当選ができない」といった規定はありません。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
2011 年最高裁判決で「一人別枠方式」廃止を促され、2012 年 11 月に条文削除により廃止されました。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 は妥当です。
参議院選挙についての記述です。

選択肢 4 ですが
一般に、小選挙区制度は「1つの選挙区から1人が選ばれる」ため、死票が多くなります。そして、小政党が集める票は死票になりがちです。従って結果的に大政党がより当選しやすくなるため、小選挙区制度は大政党に有利です。中選挙区制の方が有利ではありません。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
全国から 50、11 地方から 5 ~ 9 名だと、最高でも 50 + 99 = 149 名にしかなりません。「議員定数削減すべき」という意見がたびたび挙げられる中で、現在の参議院定数が 250 人弱であることをふまえて考えれば、少なすぎます。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 3 です。

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